晴子情歌(上)/高村薫 読了

これまで読んだ高村作品とは全く異なる、推理小説でも警察小説でもなく、何を描こうとしているのかまだよく分からず…。
昭和初期の東北、北海道の風土、農作業、鰊漁、例祭の細かな描写は、資料などでは得られない臨場感を与えてくれるように思う。
今はほとんど獲れなくなった鰊にしても、「鰊御殿」が建つほどの漁獲量だったわけで、それをどのように獲り集め加工し換金したのか、それだけの作業を行うだけのシステムはどのようなものだったのか、その辺りが晴子という人の目を通して描かれて、想像力を刺激される。
旧字体で書かれた晴子の手紙はさぞかし読みづらいだろうと思ったが、それほど苦痛でなかったのは意外。
下巻で話はどこへ向かうのか。とりあえず仕事が逼迫しているので、その後か…。